給与や福利厚生よりも「目的」が重要な理由
キャリアの話になると、よく「給与はいくらですか?」「福利厚生は何がありますか?」といった質問が出ます。もちろん重要なポイントですが、再生可能エネルギー業界では、それ以上に大切な問いがあります。「この仕事がなぜ重要なのか?」です。
私が出会った優秀な再生可能エネルギーのプロフェッショナルたちは、単なる給与だけで働いているわけではありません。彼らは、自分たちの仕事が化石燃料依存から世界をシフトさせることに貢献しているという実感に動機付けられています。ソーラーファーム、風力タービンの設置、バイオマス施設など、どのプロジェクトも単なるエネルギーではなく、社会への影響を伴っています。
もしあなたがクリーンな電力で1万世帯に光を届けることができれば、その仕事は未来の世代に直接的な影響を与えていることになります。どんな福利厚生よりも大きな意義です。
リクルーターにとっても、単に求人票を売るだけでは不十分です。候補者に「自分より大きな目的」を伝え、共感させることが重要です。そうすることで、候補者は単に定着するだけでなく、能力を最大限に発揮します。
「目的」はロイヤリティを育み、イノベーションを生み出します。再生可能エネルギー業界では、目的こそが究極の“特典”です。
再生可能エネルギー業界の採用は「役割を埋めること」ではなく「レガシーを築くこと」
採用の話になると、「配置(Placement)」という言葉がよく出てきます。配置という言葉は、まるでパズルのピースをはめ込むような、取引的な響きがあります。しかし、再生可能エネルギー業界の採用は、もっと大きな意味を持ちます。それは「レガシー」です。
今日採用されるソーラーエンジニアや風力技術者、プロジェクト開発者は、彼らのキャリアが終わった後も残るプロジェクトを築きます。今設置するタービンは、退職後も電力を生み続けるかもしれません。今日策定する政策は、今後数十年にわたってエネルギー戦略の指針となるでしょう。
多くの業界では、社員は「キャリア」を築きます。しかし再生可能エネルギー業界では、社員は「未来」を築きます。
そのため、この業界のリクルーターは単なる人材の管理者ではなく、影響力の担い手である必要があります。私たちは人と仕事をマッチングしているのではなく、人と「使命」をマッチングしているのです。
再生可能エネルギーの採用は、次の3年間だけを見ているのではありません。次の30年を見据えています。そして、この業界に迎え入れる人材こそが、人類のエネルギーの未来を形作る存在なのです。